化学物質過敏症とは
化学物質過敏症とは、微量の化学物質にさらされただけで、さまざまな体調不良が引き起こされる病気です。
大量の化学物質に接触した後や、微量の化学物質に長期に接触しつづけたことをきっかけに発症し、非常に微量な化学物質に反応して様々な症状が出てくるようになります。
ニオイへの不快感がきっかけとは限らず、ニオイがなくてもその化学物質に接触しただけで起こります。
例えば、柔軟剤やタバコのニイで体調を崩してしまう方、多いかもしれません。だからと言って、消臭スプレーをしたら解決というわけではありません。
消臭スプレーに含まれる化学物質にも反応し体調を崩してしまうからです。
また、一度発症すると、反応する物質と症状が増えていく傾向があるとされています。
ここでは、ブログテーマでもある化学物質過敏症について、改めて書きたいと思います。
目次
化学物質過敏症の症状
化学物質過敏症の特徴のひとつとして、同じ化学物質が原因でも、その人によって現れる症状は違うことが挙げられます。
主な症状を挙げてみました。
症状は多岐にわたるため、これらの症状に当てはまらないこともあります。
化学物質過敏症による症状として鬱や不安、不眠などが現れることがあり、精神科や診療内科を紹介されることも多いです。
ちなみに私の症状は
物質によって症状が異なりますが…
主な症状は頭痛、めまい、嘔吐、舌のしびれ、イライラするものが多いです。
重い症状としては、悪寒戦慄や痙攣、呼吸困難、意識消失です。ちなみに、発症時は痙攣で2度救急車で運ばれ入院しました。
石油系の揮発性物質(工事中にアスファルトを流し込む作業のとき、ガソリン)、たばこ、特に電子タバコで重い症状が出ます。
その他、トラックの排気ガス、殺虫剤や防虫剤、洗剤や柔軟剤、油性ペンなどで症状が現れます。
化学物質過敏症を発症する原因
どうして化学物質過敏症を発症してしまうのか?
花粉症をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
花粉症は、スギ花粉などの暴露量がある一定値を超えることが引き金となります。
化学物質過敏症も、その人の許容量を超えると発症すると言われています。
コップが自分の許容範囲の器だとしたら、徐々に体内に化学物質が蓄積されていきコップの水があふれたときに発症します。
そして花粉症も化学物質過敏症も、その”閾値”に達するのがいつなのかを知ることはできない。
だから、これまで発症していないからといって、「今後も発症しない」という保証はありません。
シックハウス症候群のように、短期間に大量の化学物質に曝露してしまった場合は、一気にコップの水があふれてしまうんでしょうね。
発症しやすいタイプ
- 女性
化学物質過敏症の患者さんの男女比は女性が70%以上を占めています。
女性の方が自宅にいる時間が長く室内の空気汚染の被害を受けていること、子供を産む女性の方が、危険な環境に対して敏感に反応することが考えられるとされています。
それに加え、女性の方が家事をする割合が多く、洗剤などに接触する機会が多いことも原因と考えられます。
- アレルギー体質の人
化学物質過敏症の患者さんの半数以上が、目、鼻、皮膚、呼吸器などのアレルギーを持っているようです。
- 薬品やOA機器を扱う職種の人
パーマ液を扱う美容師、合成洗剤を使う清掃業者、塗料を使う塗装業者、農薬を使う農家の人など、仕事で日常的に薬品を扱う機会の多い人は化学物質過敏症を発症しやすくなります。
また、印刷に使うインクにもホルムアルデヒドが含まれており、印刷関係者や図書館など本の多い職場で仕事をする人も注意が必要です。
ちなみに、患者は医療界に最も多く、その数も増えてきています。
- 新築の家に住む人
シックハウス症候群という言葉は有名かもしれません。
新築の家などは、建材や家具に使われた防腐剤や塗料などから有害な化学物質が揮発して空気中の濃度が高くなっています。
- 農薬を消毒薬の空中散布が行われる地域の人
- 交通量の多い道路や信号機がある交差点の近くに住む人
自動車の排気ガスには、多くの化学物質が含まれています。特にディーゼル車の排気ガスには、喘息の原因になる物質が含まれています。
ちなみに私の場合は、引っ越し先の大気汚染が原因だったと思います。
交通量が多く、特に日中はトラックばかり通る道路だったんですが、
かつて「日本一汚染されている交差点」と呼ばれる交差点から徒歩5分の場所に住んでいました。
この話を知ったのは、引っ越してから2年後。
引っ越しのときは、そんなことも知らずただ築年数が少ない、職場から近いという理由で住みました。
引っ越してから1カ月で喘息発作が起きました。
しかし、そのとき検査をしても喘息のデータは出なかった、ただ症状だけは完全に喘息だったという、不思議なものでした。
もしかすると、ここが私の発症の始まりだったのか?と思っています。
化学物質過敏症を発症する原因物質の一例
農薬、タバコ、電子タバコ、殺虫剤、柔軟剤、合成香料、スプレー剤、消臭剤、除菌剤、線香
こうやって見ると、私たちの生活に身近なものばかりです。これらに接触しない日はないと言っても良いでしょう。
化学物質過敏症という病気に対する認識
2009年、厚生労働省は化学物質過敏症の病名登録を中毒の部門で認定しました。
しかし…化学物質過敏症の現状としては…明確な体調不良あるのに、現代医学の諸検査データ上では異常が出にくい病気です。
そのため、体調不良の原因がわからず、多くの医療機関へ渡り歩くことになる方も多いようです。
なぜ渡り歩くことになるのか?
この病気を理解している医師や病院は非常に少なく、診断できる病院は全国的にも極少数となっています。
そのため、診察に訪れた患者さんを診て、化学物質過敏症の疑いを持ち専門機関に紹介するというプロセスを取れる医師自体が少ない現状にあります。
そうなると、自律神経失調症や、精神疾患、不定愁訴として扱われ、納得いかずに多くの医療機関を渡り歩くということになってしまうのです。
事実、私もかかりつけ医から、たばこや洗剤で具合が悪くなるので精神的なものであり、意識を失うのは”てんかん”のせいだろう。という診断をされました。
(てんかんによる意識消失は不規則であることが特徴で、対して私の症状は再現性のあるものであったため、てんかんとは考えにくいです。)
化学物質過敏症ではないのかと聞いても鼻で笑われるだけであり、その発言すらも精神疾患の一部との判断。
この病気が医者にとってもあまり一般的でないということを身をもって知りました。
体調不良を訴えても検査データ上は異常なしとなってしまうため、家族からも理解されないことが多く、孤独に苦しみます。
そのことがさらに症状を悪化させ、悪循環に陥ります。
化学物質過敏症に負けないために
アレルギーと同じで、基本的に完治することは難しい病気です。
未知の部分も多く、完全な治療法も確立されておりません。
発症後は体調を崩す物質が増えてく方も多く、不安でいっぱいになるかもしれません。
ですが、その人に合った治療を見つけ、生活を変えていくことで、元気に生活することは可能だと思っています。
あまりの辛さにベランダの手すりに足をかけたこともある私ですが、
今では元気に笑って過ごすことができています。
あのときそのまま飛び降りなくて良かった!
どうか、諦めない気持ちを持ち続けてほしい、
くじけそうなときは助けを求めてほしい、そう思います。